データブックオブザワールド

データブック オブ・ザ・ワールド―世界各国要覧と最新統計〈2016 Vol.28〉

データブック オブ・ザ・ワールド―世界各国要覧と最新統計〈2016 Vol.28〉

 大学受験で地理を選択したことはない。地理は我が高校では選択科目扱いだった。日本史とのトレードオフで、僕は日本史を選択した。しかし、通訳案内士試験絡みもあって、何となく買ってみた。

 パラパラ読んだだけだが、載っている統計は自分があまり記憶にないようなものばかり。元より知らない統計もあれば、その統計は知っていたがこういうデータだっけ???と思うようなものもある。
 考えてみれば、自分の地理の知識が中学3年生ぐらいまでで終わっているわけだ。それ以後、中国韓国のGDPは飛躍的に伸び、インターネットなどの新技術の利用が日常化し、当時は国民一人当たりのGDPが世界1位だった我が国経済のGDP金額があまりにも、あまりにも、あまりにも変わらなかった等々。約20年間ほどの変化を一時に見せつけられたような気がして、読めば読むほど面食らった。
 割とこういうデータを見るのは好きだったが、高校以降あまり見なくなっていった。履修した科目に依るところが否めない。しかし、物理・化学のような有効数字が出てくるような科目でデータ好きが少し、自分の中で息を吹き返した気がする。
 話を戻すと、日本も載っているこのデータの数々を見て、悲しく思ったのが否めなかった。
 自分が中学生の頃は間違いなく日本は、少なくとも今以上に経済大国だった。韓国から輸入されるものは衣服類といった感じだった。現在でいうと韓国はベトナムのような国だったろうか。中国に至っては烏龍茶以外はよく覚えていない。カーキ色の人民服を着た自転車乗りが大量にいる、滑稽な風景とさえ思える人口多数の国という認識だった。こういう国々は歯牙にもかけず、後は打倒アメリカ!!
 一方で2016年現在。自分自身が愛国者なのかはよく分からないが、この本に出てくる日本の現在のランクを見てそれが自分の過去の印象とあまりに違うことに、痛ましさを感じさえした。ちなみに定性的な記述にとどまっているのみだが、日本が北方領土以外の領土問題で隣国と紛争を抱えるようになったというのも大きな変化だと思う。
 最近出版されたホリエモンの本に、平田オリザさんだったからかの言葉で「日本は長い後退戦を戦っていかなくてはならない」という話が書いてあった。涙を飲みながらそうせざるを得ないというとオーバーだが、確かにこのデータブックはその「後退戦」の到来とそれに伴う辛さを裏付けるようなものではある。しかし、それゆえ徒にナショナリズムを唱えるのではなく、どういう戦い方をすればよいのかを見つけ出せるようなところも本書にはあるのではないか。