撤退

 あの業界の特殊なジャンルからは撤退することにした。遅いくらいかもしれない。
 一度を除いて、綺麗や美しさを感じることはなかった。自分の心根には、このジャンルの商品の良さを感じることは結局ほぼなかった。
 そのファンは確かに少なからずいる。だが、例えて言うならばあのジャンルはパチンコのようなものだ。自宅最寄り駅のすぐ傍にあるパチンコ屋さんには、土日祝祭日はおろか、平日においてすら開店を待って並ぶ人がいる。その意味では確かにファンはいる。しかし、それに全く興味を示さない、示せない人もいる。私もそういう後者の一人である。
 だからといって、パチンコ屋に文句を言っても仕方がないのと同様、あのジャンルにかみついても仕方がない。
 自分で何か興味を持てそうな分野がないか探してみたこともあった。実際、あった。しかしそれはもうやり慣れた。すっかりと。
 こう書いてみて思うが、今、違う道へ転進することは妥当だな。