単なるマニアではないか

 自分が大学生の時にどことなく思い、それから十数年が経った今になってもやはりと思うことがある。
 歴史の研究によっては、それがその研究者だけの関心の内で完結してしまっているということだ。その人にとっては有意義なのかもしれない。しかし、どうにもこうにも、他人と何かしら同じく関心を寄せあえるような共通事項がないというものがある、いや、多い。そういう人が書いた論文やその他書いたものを拝見する限り、何かマニアックなことを調べたり考えたりしているだけの印象がある。
 今のこの世における、他人からも関心を惹く問題が自分にとっては何かを、歴史家なり思想史家なりは公言しておかないといけないのではないか。研究は何か深淵なことであるかもしれないが、傍からはそれが単なるオタクの狂気と誤解されないためにも、本人の動機付けにも、こういう言動は良いことだと思う。