また面倒なことに

 チェーン展開している某ブランドでそれなりの責任あるポジションを取っていたという年配の方が、よりによって自分の後輩に最近なった。彼が入社してから数ヶ月が経っているとは聞いている。

 彼をここではSさんと仮に呼ぶことにする。

 そのようなキャリアを持つSさんは仕事ができるかというとそうではない。実に粗が目立つのである。
 先日、二度目に会ったときに彼が私に話したいことがあるとのことで、仕事を進めつつ話をするものだから、こちらがSさんがミスしないかと思い、わざわざ話をするのであればそのような点はなきようお願いしたにも拘らずその場でミスをしたのであった。重大なミス1点、些細なミス1点、その中間にあるようなミス1点という感じであった。
 おそらく高をくくっていたのだろう。結局、その後に私にミスを指摘されて憮然とした態度をとりつづけていた。なお、彼の言いたいことを聞くとさらに呆れた。なぜならば、自分で調べもしないで私の評判に基づいたある判断を言ってきたのだったから。どういうことなのかを問い質すと、当然ながら、不確かなために自分では答えられない。聞いただけで終わりにした。

 この事件より、Sさんは偏見をもって話す性格が強い人間なのではないかと私は思った。
 その上、自分の言動に対して、特に発言の方には責任をあまり感じてきたのではないのかもしれないとも考えた。
 過去のキャリア上、そういう発言をしても自分は許されてきたのかもしれない。おそらく、その社会ではそういうポジションの人間の放言が咎められることがない、一方で下っ端は何か色々と上司や先輩の言うことを唯々諾々と聞いていたからなのかもしれない。
 その内、そういう一慣習Sさん個人には須らく自明の理かのように思えて言ったのかもしれない。
 その社会を離れても、未だにSさん個人のメンタリティは旧来のままであるのかもしれない。

 さて、このような性格のSさんからは様々な点で違和感を覚える。
 挨拶は向こうの方からはしない、いろいろと無責任に言う、仕事はいまいちできない、その上他の人のミスなどは、オブラートに包んで言うどころか糾弾する。また、先輩諸氏にはまるで後輩、いや自分の部下のように接してくる。
 結果的にSさんは一緒にやりにくい、変な人と見なされ始めている。

 そういう、自分よりはるかに年上のおじさんに、どう接していけばいいのか。また面倒なことに今、自分は巻き込まれている。