茶番

 自分にはアイドルととても思えていなかった連中のひとりが、自らのセックススキャンダルに対して、頭を刈って謝罪の言葉を動画サイトに投稿するということをしたらしい。
 剃髪するということの日本古来の意味はさておき、どうも自分にはこのことの現代的意味が何なのか、かねてから分からない。現代日本では反省の意味合いを形からでもということなのかもしれないが、他に効果的な策があるように思う。例えば、そのようなスキャンダラスな行為と受け取られる言動を全く見させないために他の人と関わる際は常に公衆のいるところで行うように今後はする、自分以外の連中がそういうことにならないよう注意を日常的に呼びかける、あるいはそのような制度を設けるのである。むしろ、そういうことに労力を注ぐ方が簡単だし、かつ重要ではないか。然るに、頭を丸めてその場限りで反省の言葉を幾度かに分かれて言っているだけとなると、たとえ自分が本当にそのような過ちを犯さなかったとしても、どうも自分だけが反省に酔いしれているように思えるのである。
 一方、他の構成員からこの頭丸刈り等々の言動が「すごい」だの言われている状況はどうなのか。たとえ「すごい」としても、そんなのは自分の方から公言するべきではない。言う立場にない。少なくとも構成員ではない人間の判断とするべきである。
 以上、本人といい他構成員といい、どうも今回のスキャンダルに関するこの連中からの言動を見る限り、自分あるいは他の身内に対する甘えが見え隠れした事件であった。
 ところでこの自称アイドル集団の歴史に鑑みれば、過去にも他構成員のセックススキャンダルが起きてから何度も同種のことが起きているみたいだし、そんなスキャンダルをつぶす気はないのであろう。世にある会社でそのような、自ら禁止していることをやると株主や取引先やお客さんから当然、そっぽを向かれるだろう。翻って、何度も起こし続けるこの自称アイドル集団の反省など高が知れている。
 しかしながらそういう事件に多くの人々の下世話な耳目を集め、話題づくりをすることは出来るため、そういう効果を狙って、構成員もその黒子もセックススキャンダルを自らマッチポンプとなってやっているのかもしれない。この度の茶番は耳目を集めるという点では成功したのではないか?