重力波の初観測

 最近、ニュースになっていた。
 新聞の解説記事での図を見ると、その観測装置の図はかの、マイケルソンとモーリーによるエーテルを発見しようとした実験装置が似ていることに気が付いた。この実験装置は高校物理でも教科書で出てくるし、物理に疎い人でも、今回の初観測が何か当時と同じことをやろうとしてみた結果だと気が付くと思う。とはいえ、波を伝える媒質と期待されていたエーテルは発見できず、光は波では必ずしもないと証明された一方、今回で重力の波は観測されたという違いはあるが。
 まぁ、エーテルの実験と違って格段に難しかったのが、観測精度なんだろう。重力のオーダーがクーロン力と桁違いに小さく、そういう量を発見できるのかが今回の観測の勝負所だったと思う。本当に、どうやったんだろう。
 こういう、観測技術の精度が重要な物理量の発見につながったという話は過去にある。
 例えば、フィゾーによる光の速さの観測だ。観測のアイディア自体は聞いてみればすぐに分かるようなものなのだ。僕自身は聞いたとき、何となく、「ホイヘンスの原理」で有名なホイヘンスあたりが観測のアイディアを思いつかなかったのかなと思った。彼は光の屈折の理由をこの原理を考え出すことにより説明して見せたわけだが、彼のアイディアが個人的に素晴らしいと思ったのは、速さそのものを観測せずに角度という観測できる量に注目したところだった。そんなホイヘンスは17世紀の人である。が、なかなかどうして、19世紀にならないと光という桁違いの速さのものは観測できなかったわけだ。
 実は、この疑問は未だに頭の中にある。フィゾーの実験を知った当時は、機械時計の発明の時期が気になった。そして今、当時から疑問は進歩していない。