右傾化という言葉について

 「右翼」、「右傾化」等。これらの言葉は今後使うべきではないと考える。なぜか。まず、これらの言葉が字義通りの意味としては全く使われていないから(もっとも、フランス革命期の当時の議会で使われ出したと聞くこの言葉は、当初から字義通りには使われていなかった。だが、そうだからといってその使用の存続を認めるかは別問題ではないか)。そして、それ以外の意味として、保守主義だの暴力的だのが連想されるが、それらの概念のつながりが論理的につながらないから。個人的にはこちらの方を問題視している。
 これらの言葉が多義的に使われている、と言ってしまえばそれまでだ。しかし、そういう考え方は、いくつかの概念、しかも論理的な関連の何もない諸概念をひとくくりにしてしまっている態度でもある。よって、分かりにくい言葉である。しかも、善い価値を否定する言動を規定する概念もその包括対象にある。これは良くない。「右翼」などがマジックワードとして、しかも許容できない価値を内包して使われてしまっているのである。
 なお、「左翼」等も然り。